モンゴメリの『赤毛のアン』は、私のお気に入りの本の一つです。
孤児のアンはグリン・ゲイブルスの老兄妹、マシュウとマリラに引き取られ成長していきます。
マシュウはとても温厚で人付き合いが苦手な人ですが、アンに彼らしい愛情を注ぎます。
マシュウは心臓発作で亡くなりました。
原因は、全財産を預けていたアベイ銀行が破産したからです。
アベイ銀行が破産した記事が載っていた新聞を手にして、玄関で倒れて亡くなりました。
マシュウの死はショックによるものだったので、苦痛をともなわなかったとありましたが、やはり自分の全財産を預けていた銀行の破産は相当のショックだったと思います。
物語を読むと、
マシュウはもともと働きすぎて、心臓が弱っていた。
アベイ銀行の頭取は、マシュウとマリラの父の大親友だったから、マシュウもアベイさんを信じて全財産を預けていた。銀行が危ないという噂を聞いても、「考えておくよ」と言ったっきりだった。
そして、新聞記事で自分や家族のために貯蓄してきたお金が一瞬にして無くなったことを知ったことがわかります。
自分が一生懸命積み上げてきたものが、一瞬で無くなることの怖さを感じました。
投資の世界では、
「すべての卵を一つのカゴに入れるな」という言葉があります。
一極集中ではなく分散させることの重要性を説いた言葉だと思います。
資産をどのように運用するのかを考える時、分散投資を基本に考えることは大切なことだと思います。
マシュウも、もし分散投資していたら、ここまでショックを受けることはなかったかもしれません。
『赤毛のアン』は、アンの成長記録としても読めますが、随所に人生における不条理が描かれていると思います。
マシュウの死の場面を読んだ時、とてもせつない気持ちになりました。
投資の基本を教えてもらったような、ちょっとせつないエピソードでした。