最近、佐藤優さんの『サバイバル組織術』を読みました。
自分の中で、今、一番困っていることが職場での人間関係。特に上司との距離感には悩んでいます。
佐藤さん曰く、
「組織はかならず位が上の者に味方しますから、上司とは絶対に喧嘩をしてはいけません。」とありますので、時々、上司と喧嘩になりそうになりますが、ぐっとこらえてやり過ごすようにしています。
組織で生きていくことは、いつも大変で難しいと感じますが、「真に自由な個人とは、自分の能力、適性、感情制御力がどの程度であるかという限界を見極め、そのうえで行動できる人間」になることが生き抜くうえで大事だなと思いました。
佐藤さんの本の中で、一番印象的だったのが、夏目漱石の『坊ちゃん』を取り上げたくだりでした。
坊ちゃんは、松山で赤シャツとの戦いに敗れ、教師を辞めた後、東京の下女である清のところに戻ります。そして、街鉄(東京市街鉄道。今の東京都電の前身)の技手になりました。
ここを「転職」と「家族」というキーワードで読み解かれていました。
坊ちゃんは教師として学校という組織には適合できなかったが、より人との関りが薄い技術職に転じることで、辛うじて組織の一員として生きることができました。
一つの組織にしがみついて<バーンアウト>するより、<マイペース>を維持できる職場に転じたほうがよい。
でも、その場合待遇は低下するのが普通です。前職の給料の三分の二以下が相場ですが、坊ちゃんも月給40円から25円となかなかリアルな下がり方をしています。
(換算額は違うかもしれませんが、これを40万円から25万円とするとイメージしやすいです)
そして、「家族」。
組織よりも大事なのは何か、自分を肯定してくれるもは何かというという問いに、坊ちゃんが出した答えは清の存在でした。血縁家族や妻ではなく、下女という他人とのつながりに見出したところが面白いと読まれていました。
漱石は、今の時代にも通じる問題を明治時代にも見出していたんだなと感じます。
『坊ちゃん』には、漱石も教師の道を捨て、朝日新聞社に入社していますので、自己投影した部分がたくさんあります。
時代が変わっても、人間が組織の中で生きていく時に直面する問題、お金の問題は変わらないんだなと思いました。
今の時代の中で、どんなふうに生きていくのかに正解はありませんが、自分なりの答えを見つけながら進んでいくことは大事だと思います。